カテゴリー別アーカイブ: 医療

ある当直にて

 

以前の勤務先、小平市の病院で当直です。

分娩から遠ざからないように、当直勤務で補っています。

 

救急隊から連絡が入りました。妊娠8ヶ月、おなかが痛い

とのことです。かかりつけがあったにもかかわらず、満床

である(?)と断られ、どこも引き受けてがなく、立川から

やってきました。妊娠8ヶ月、腹痛という情報しかなく、

しかも当病院も満杯でしたが、最後の砦ということもあり、

無理やり引き受けました。

 

到着してみると妊娠32週、陣痛開始、骨盤位、前回帝王切開

という超ハイリスク!

なんとなくヤバい感じはあったんですが…

 

本来なら帝王切開をすべきところ。けれども子宮口は全開大、

赤ちゃんのお尻はすぐそこに。迷わず自然分娩でいくことに

しました。アドレナリン全開!、でも冷静に、冷静に…

 

全開帝王切開の自然分娩、骨盤位の自然分娩を教えてくれた

私の師匠の教えを頭の中で何度も繰り返していました。

 

緊急手術の段取りも頭に入れつつ、骨盤位牽出術を頭の中で

繰り返しシュミレーション。看護スタッフは突然の展開にとまどう

産婦さんをケアしつつ、必要物品を次々と揃えてくれる、本当に

優秀です。

 

小児科の先生もスタンバイ、幸い赤ちゃんの心音も良好、

いよいよ分娩です。

カンブリア宮殿

今日、カンブリア宮殿で、聖隷浜松病院の院長先生が

出演していました。

 

名前だけしか知りませんでしたが、とても評判のいい病院だそうです。

テレビなので、本当のところはよくわかりませんが、忙しくてもみな

喜んで働いている、ということなので、いい病院なんでしょう。

 

どういう病院がいい病院なのか、患者さんから見る場合と医療者側から

見る場合と違っていることも多いと思います。でも、気分よく働いている

人が多ければ、患者さんにも優しくなるし結果的には患者さんにも

いい病院になると思っています。

 

医者にとっていい病院とは、給料とか勤務時間ではないんです。

ちょっと青臭いですが、医者にとって医療は自己実現ですから、

やりたい医療ができる、ということが重要です。

 

これは自分のやりたいことを患者さんに押し付けることでは

ありません。患者さんが中心です。その患者さんに必要と思われ、

かつ自分にできる技術はあるのに、病院の規模や設備の

問題でできないこと、これが辛いんです。

だから、それができないとなると、働いていてもむなしい、とか

せめて給料だけでも高く、なんて思ってしまうんではないでしょうか。

 

わがクリニックでも、当然病院でできたことができなくなります。

が、病院でできなかったことができるようになるメリットもたくさん

あります。

 

また、一緒に働いてくれるスタッフの方たちにはできるだけ制限を

しないで、 やりたいことが自由にできるような雰囲気を作っていきたいと

思っています。