月別アーカイブ: 2008年7月

安全な産婦人科医療のために

 

今日は日本産婦人科学会の企画委員会がありました。

卒業後10年以内の若手医師を中心に今後の産婦人科

のあり方について、学会で企画を催すための委員会です。

 

産婦人科医は、減少の一途をたどっておりその歯止めと

なるべくいろんな企画が催されています。

 

現在は、医師数が減って、現役医師の負担が増え、

それに耐えかねてまたやめる、という悪循環に陥って

います。それに加え学生が新しく産婦人科を専攻しない

のです。

 

少子化が進む中、産婦人科に明るい未来がないと

感じるのか、産婦人科医の中で議論していても答えは

でません。なぜなら、産婦人科医は少なくとも魅力を

感じて産婦人科を専攻したのだから、魅力を感じない

のはなぜ?と言われても答えられません。

 

でもこのまま放置すると、必ず患者さんの不利益に

つながってしまいます。すでに首都圏以外では、

産婦人科診療を受けるために1時間も2時間もかけて

病院に通院している人がたくさんいます。

 

なんとかいい知恵を出したいと思っています。

このブログも、もし医学生が目を通して、少しでも

産婦人科医療っておもしろい、と思ってもらえれば

という気持ちも込めて書いています。

 

少しでも伝わって!!

 

サイダツ 2

 

(ふぉぉぉーーーっ!)

ワタシ 「っっっっっっっ」

助産師さん 「ひぇっっ」

 

全身からアドレナリン噴出、汗も噴出、尿道はなんとか閉め、

ワタシ 「吸引っ!」

すぐに吸引分娩用のカップを出してもらい、臍帯を押しやって

赤ちゃんの頭に装着、そこはさすがに経産婦さん、吸引分娩で

あっという間に生まれました。その間30秒、しかし、心音が

低下し始めた時から数えると約7分、臍帯が圧迫されていたの

かもしれません。

 

すぐに、ややぐったりした赤ちゃんを蘇生です。胎便という

赤ちゃんの便を吸っていたのですぐに吸引し、酸素をバッグで

送り込みます。すると30秒ほどで元気な泣き声をあげ、

白かった赤ちゃんも本来の赤みを取り戻してきました。

 

念のため赤ちゃんを保育器に入れ、モニタリング。少し酸素を

加えると落ち着いていました。

 

子宮の中はブラックボックス、とはよく言ったもので、何が

起こるかわかりません。何が起こってもよいように、準備が

大事だとあらためて思いました。物品の準備はもちろん、

心の準備も必要です。

 

産婦さんにはその場でゆっくりと説明できないときもありますが

あとからちゃんと説明しています。そういう緊急事態もお産には

つきものである、と少し心構えをしてもらえるよう、母親学級など

で伝えていければいいなと思っています。

 

サイダツ 1

 

梅雨の中休み、やはり今年も暑い夏になるそうです。

熊谷では昨年40度越えの反省を生かし、50度までの

温度計を作ったそうです。。。

 

ところで、表題のサイダツ、SAIDATSU、臍脱、、臍帯脱出

の略です。赤ちゃんが生まれる時、体が全部出る前に

へその緒が出てくることのことです。へその緒が先に出て

しまうと赤ちゃんの体や頭と産道の間で圧迫されて、赤ちゃん

に血液が届かなくなりとても危険な状態です。骨盤位、

つまり逆子の時に起こりやすく、逆子が帝王切開になる

理由の一つになっています。

 

 

先日、あるお産のとき、子宮口が5cmくらい開いたところから、

ときどき赤ちゃんの心音が低下していました。ただ、すぐに

回復するし、回復したときはとても元気そうなモニター状況で、

かつ経産婦さん、陣痛もよく来ていたので様子を見ていました。

 

その後、心音はときどき低下するものの、臍帯がらみのものでは

ないか、というパターンで臍帯が首に巻きついているのだろうと

思っていました。診察すると、胎胞といって赤ちゃんを包んでいる

膜がパンパンに張っていて頭さえ触れず、どんどん進みそうな

感じです。

 

30分後、

助産師さん 「心音が落ちてまーす、分娩室でーす!」

ワタシ 「はいはーい」

それまでは陣痛室という準備室にいたので、分娩室ということは

お産になる直前です。やや安心しながら分娩室に駆け込むと、

心音が確かに下がって3分くらい戻っていません。診察すると

もう胎胞が膣からはみ出すほどに進んでいたので、

(もうお産だな)

ワタシ 「では破膜しまーす」

赤ちゃんを包んでいる膜を破ってお産にしようと思いました。

 

えいっと膜を破って、また内診。

(んん??んんん???)

なんだか赤ちゃんの頭の前にコリコリしたものが触れます。

(便秘かな?)

ときどき膣越しに便をコリコリ触れることがあるのでそうも

思いましたが、そのコリコリがつかめるのです。

ちょいと引っ張ってみると膣の中から出てきたものは

SAITAI、さいたい、臍帯!!!

 

開業への道のり 8

 

さて、どこに開業するか、場所選びはなかなか

難航しました。結構広さが必要で、具体的には

300坪くらいの土地を探していました。

 

坪。。。 だいたい一坪がどれくらいの大きさかも

わかりません。さっそくネットで調べると一坪は

3.3㎡。とすると、300坪って1000㎡?ってどれ

くらい?

 

住んでるマンションが70㎡くらいだから、15倍

くらいか、って想像がつきません。

 

さすがのノムさんも土地探しだけは時の運みたいな

ところがあって、一生懸命ツテを使って探してくれて

いましたが、なかなか見つかりません。

 

そうこうしている間に、ベッド規制の問題が迫って

 きていました。各地域に入院ベッド数の規定が

あって、もう埋まっているところにはあらたに病院、

診療所は立てられません。

 

すると東京西部の中でも限られてきて、府中、調布、

国立、国分寺あたりに絞られてきました。

 

しかも、申請期限は7月31日、ノムさんに初めて

会ったのが4月中旬でしたから時間はわずかしか

ありません。

 

同時に、銀行から融資を受けないといけません。

また開業許可は東京都庁がするので、金融機関、

都庁にあいさつ回りです。

くそ暑い中、一張羅の冬物スーツで大汗をかきかき

事業内容をプレゼンです。

 

とはいってもノムさんの今までの実績でほとんどスルー。

ノムさん「気持ちが伝わればいいんです。」

の言葉どおり、あまり内容は問われていないようでした。

開業医の診療についてはどこも同じようなものだから

でしょうか。

 

さて、あとは土地