カテゴリー別アーカイブ: 医療

ピンクリボン

 

昨日10月1日は、乳がん予防運動の日でした。

ヤフーもピンクでした。

東京タワーもピンクだったんでしょうか。

 

当院でも乳がん検診を受けてくれた人にピンクリボン

バッジを配っています。少しでも意識の上に乗って

くれればと思っています。

 

うちではエコーでの検診ですが、マンモグラフィでも

エコーでもどちらでもいいです。気にしていれば発見も

早いというものです。

 

子宮がん検診も合わせて受けておけば完璧。

これもついでに骨盤内エコーも忘れずに。

 

 

乳がん検診も子宮がん検診もクーポン券なるものが

できましたが、乳がんはマンモグラフィじゃないとだめ

ですし、子宮がんは頚がんの細胞診でないとだめ

なんです。

 

どうしてこう中途半端なんでしょうか。現場の人が

決定する場に入っていないんでしょうね。。。

 

有益性投与

 

妊娠中に薬の話をすると

「それは飲んでも赤ちゃんに影響がないですか?」

と聞かれます。

 

悪影響があると分かっている薬は出しません。

ただ、悪影響が出ると分かっている薬も、悪影響が

出ないと分かっている薬も、とても少ないのです。

 

ほとんどの薬は、よくわからないのです。

そこで出てくるのが

「有益性投与」

という言葉です。製薬会社、多用します。

 

悪影響があるかもしれないが、それを使わないことに

よるデメリットを考えれば使ったほうが有益だ、と

判断される場合には処方しましょう、

ということです。

 

でも、注意はしてあるので、製薬会社としてはそれで

悪影響が出たとしても責任を持ちません。

丸投げ。

 

こちらは患者さんにそういう言い方はできません。

たとえば自分ならどうするか、と考えて、薬を処方したり

ワクチンを使ってみたりするわけです。

 

そういう意味で、インフルエンザのワクチンも薬も積極的に

使っていくことをお勧めしています。

 

ワクチン受けましょう

 

最近2人に1人くらいの割合でインフルエンザについての

質問を受けます。

当然ですね。。

 

こちらも特別情報があるわけではなく、情報源はテレビと

新聞です。医師会などからも連絡がありますが、テレビの

ほうが早いです。

 

ただ、産婦人科業界全体の対応はなかなかテレビでは

報じられませんので、お伝えしておきます。

 

ワクチンは受けましょう。

インフルエンザが少しでも疑われたらタミフルなど飲みましょう。

 

ということです。

「ワクチンを受けたり、タミフルなどを使っても大丈夫ですか?」

とよく聞かれます。

正確な答えは

「よくわかりません」

ですが、現実的にはワクチンを受けなかったり、インフルエンザを

自力で治そうという判断は、よくない、と考えています。

 

続きはまた。

 

 

インフルエンザワクチン

 

インフルエンザワクチンが驚異的な勢いで需要が

あるそうです。

現状をみればさもありなん、という感じですが、

供給が追い付かなさそうな状況だそうです。

 

今まさに製造中、どれだけワクチンが出回るか

わかりませんが、新型の分と、季節性の分と

両方あるのでとても大変。

 

当面、従来の使用量の8割までしか買えないことに

なっているようです。うちでは新規なので、どれだけ

買えるのか見当がつきません。

 

妊婦さん優先、という報道が多く見受けられるのが

追い風ですが、実際にはどうなんでしょうか。。。

 

新型に関しては政府一括買い上げなんていう報道も

ありましたけど、詳細は全く不明。業者さんに聞いても

全く不明のようです。

 

なるべく多くの妊婦さんがワクチンを受けられるように

情報収集中です。

 

患者奪い合い?

 

梅雨明けなのに結構雨が降ってて、ようやく今日は

いかにも夏な感じになりました。

クーラーの中にずっといて、それなりに夏を感じています。

 

一時のお産難民とか、産科救急のたらい回しとかの報道が

収まってしまって、テレビなんかで産婦人科のことが取り上げ

られることがほとんどなくなってきました。

これがフツーなんですけどね。。

 

かといって、産婦人科医は別に増えたわけでもなく、その傾向が

見えるわけでもなく、現場は変わりません。

 

でも、ちょっと違和感があるのは、産科が潰れるのはどうも

他に原因があるんではないかと思うのです。

 

もちろん医師が少なくなって派遣できなくなって困るところも

あるんですが、出産の数が減って、採算割れをするからと

いうところも多いのです。

 

お産を扱う場合、24時間対応なので病院では最低でも3人

くらい医師がいないと成り立ちません。そうすると出産の数が

ある程度ないと赤字になってしまうのです。

 

今はベビーブームのころと比べると、出産の数は6割くらいに

なってますから、以前と同じだけの医師の数が確保できない

のです、経済的に。

 

もともと規模の大きかったところは少し縮小すればいいですが

小さくやっていたところはそういうわけにはいきません。

 

というわけで地域によっては、出産を奪い合うような現象も

起きています。開業医で扱うようなローリスクの出産でも

大病院ではその収入源として期待されています。

それは患者さんだけでなく、助産師もその奪い合いの対象に

なっています。

 

院内助産院なんてときどきメディアに出ていて、本来効率の

悪いことはなはだしいのですが、助産師には安心して力を

奮えるので魅力的な施設なのです。

 

患者集め、助産師集めのための院内助産院設立などを

総合病院、ましてや大学病院なんかでやるわけです。

 

そうしないと経営が成り立たない、ということが大本の

原因なんですが。。。

 

ワタシも今年の学会で、産婦人科医減少を食い止める

ために、なんていうシンポジウムもやりましたが、こんな

話を聞くとどこで本当に困っているのかよくわからなく

なってしまいます。

 

現場はそれなりに忙しいんですけどね。。

 

臓器移植法案

 

もうそろそろ梅雨入りでしょうか。

水撒きをしなくて済むのは助かりますが、ジョギングがしづらく

なるので、複雑です。。

 

ところでちょっと難しい話。

最近、臓器移植法案の修正案が国会で出ています。

ポイントは二つ。

脳死を死とするかどうか、

15歳以下の移植を認めるかどうか、

です。

 

世論一般からすると、臓器移植はやるべきだけれども、脳死は

死とは認められない、っていうところのようです。

完全に矛盾なんですけどね。。

 

臓器移植をやるためには脳死の患者さんから臓器をとらないと

いけないのです。でも脳死が死じゃないと厳密には殺人になる

んですよね。

臓器移植に限って脳死を死と認める、みたいになると、臓器移植

のために脳死判定をして、移植を迫る、みたいになるわけなんです。

 

それに、臓器移植をしなければ脳死になっても生きているわけ

なので延命措置をしないといけなくなります。それを途中で打ち切る

と殺人だ、なんて言われますけど、現場では脳死の人に延命措置を

し続けていると、センスがない、って感じになるんです。

ちょっと不謹慎な話ですけれども。

 

でも実際、あらかじめ蘇生処置をしない、なんて意思表示をして

いる人は少ないわけで、全員に延命治療をしていたらとても見きれない

のです。

 

だから、そのときそのときで判断していくしかないのです。

法的な裏付けがないから、患者と医師の信頼関係というか、あうんの

呼吸というか、そういうことでやっている。要はその呼吸をつかむ

ところまでが医師の技量、責任になっているわけです。

 

そんな現場にいる人間からみると、、

国会議員のインタビューを聞くと

「命にかかわる問題だからすぐには決められない」

とかなんとかもっともらしいことを言っているんです。

 

現場はそんなに悠長じゃない。法案があいまいだから

違法なのか合法なのかよくわからないけど、目の前に

患者さんがいるからやらなきゃいけない。

 

医療現場に丸投げしていた責任の重さをようやくわかったか、

という印象です。毅然として、びしっと決めてほしいものです。

 

保健所も下火に

 

雨が続いてます。。

ジョギングをしているので、食欲が出てしようが

ありません。雨で走る意欲がわかないと、どんどん

むくんでいくようで、コワいです。

そんな風に感じるのは、別の病気かも、、、

 

ところで、とうとううちにも発熱妊婦さんがきました。

ちゃんとしていらっしゃる方で、うちに来る前に保健所に

相談したそうです。そうしたら

「インフルエンザじゃなさそうだからどこでもどうぞ」

ってな具合だったそうです。

 

来てみると、38度の熱はあるし、頭痛、鼻水もあって、

どうやってインフルエンザじゃなさそうと判断したのか

わかりませんが、検査の結果は陰性でした。

 

問診が上手、っていうよりは、もう騒ぎすぎなくてもいいや

っていう感じでしょうね。

 

確かに騒ぎすぎてましたし。。

もうマスクの在庫が余っちゃってしかたない、っていう

ニュースもやってましたし、はやりすたりは怖いですね。

 

ちゃんと地に足付けて、ということでしょう。

診療も、ですね。

 

ミラクル?

 

出産第一号に続き、嬉しいニュースがありました。

 

今年の1月に、もともと里帰り予定だった人のお産が

ありました。1月ですから前の病院ですけれども。。

 

双子だったので、もともと要注意で、なるべく早めに

帰りましょうね、とお話していた矢先、

「腰が痛い」

と来院されました。なんかいやな予感。といっても

(里帰りできなくなっちゃうな)

という程度でした。

 

お腹を触るとやはり張ってきてしまっています。

入院はできなかったので、搬送先を探さなきゃ、と

思いつつ内診をすると、なんともう産まれかかって

いるのです!

このとき24週、赤ちゃんは600グラムくらいです。

しかも二人。

 

一瞬、絶望に襲われましたがすぐに気を取り直し、

方針変更、送っている暇はないので、その場で

出産をして赤ちゃんだけ運んでもらうことに。

 

お隣の成育は忙しいとのことで、都立八王子へ

頼むと相変わらず二つ返事でオーケー。ただ、

遠いので、1時間頑張ってほしい、とのこと。

 

もうすぐに産まれるところに来ているのに、あと

1時間!・・・つらいけど頑張るしかない、と

お母さんを励まし励まし、待っていました。

 

こんなに長い1時間はない、というくらいでしたが、

時間があったおかげで病院中の暖房をかき集め

外来を真夏の状態に。

赤ちゃんは寒さに弱いのです。

 

陣痛が来るたびに、赤ちゃんが産まれないように

手で押さえつけて、そのたびにお母さんは痛みに

耐えていました。

 

ようやく八王子の先生たちが登場、なんと4人も

来てくれました。ほんとに救世主です。

それよりちょっと前に、成育から一人やってきました。

あまりにかわいそうな状況だと思ってくれたのかも

しれません。

 

そんなこんなで生まれた赤ちゃんは、都立O病院の

NICUへ運ばれて行きました。O病院でもとてもよく

してもらって、何と昨日、無事退院となったそうです。

 

詳しくはよくわかりませんが、5月の退院なので、

ほぼ修正40週程度で退院したことになります。

ということは、後遺症などはほとんどなし、という

ことでしょう。

 

こんなことはほとんど奇跡的なんでしょうけど、

日々の進歩には驚かされますし、そういう場で

働いている新生児科の人たちがちょっと羨ましく

もあります。

現場はものすごい大変なので、こんなこというと

怒られそうですが。。

 

とにかく多くの人の協力に感謝です。

 

死亡率など

 

このお題でほとんど書きあげたところで、飛びました。。。

また根気を取り戻して書いてみてます。

 

勤務医のころはがんの患者さんもたくさん見ていました。

そんなお話です。

 

婦人科の場合、けっこうな確率で治るので、すぐに告知を

してすぐに治療に入ります。

 

そこで気になっていたこと。。

 

がんになればそれはもう心配です。当然です。

そこでよく言われるのが

「がんセンターなどに行ったほうがいいですか?」

 

ワタシ「行きたいと思うのなら行ったほうがいいです」

といつも答えていました。

「ただ、行ったからといってたぶん結果は同じです」

と付け加えています。

 

というのも、婦人科のがんの場合(おそらくほかの

臓器でもそうでしょうけど)治療法はほぼできあがって

います。ガイドラインというものがあって、それにそって

やるだけ。

 

なので、主治医との信頼関係や、通院が困難でないか、

家族の協力が得られやすいか、などが病院を選ぶ

決め手にするべきです。

 

がんセンターなど、がんの専門病院は、なんとなく安心感が

あるし、週刊誌などでも5年生存率が低かったり、手術の

死亡率が低かったりします。

 

ですが、、、

もともとがんセンターなどは合併症のある患者さんを受け入れ

ません。それにだいたい、遠方からわざわざ通えるくらい元気な

人が多いのです。

なので、治る確率が高いのは当たり前。

 

そういう数字でごまかそうとするのが、週刊誌やテレビの

悪いところ。そうでもしないと売れないし、見てくれないのも

わかりますが。。

 

まずは、はじめの医師によくよくお話を聞くことが一番だと思います。

 

無料券

 

最近、いい天気なのはいいのですが、カラカラで

せっかく開院祝いにいただいた植物たちが悲鳴を

あげています。

今日も晴れ。。。

 

ちょうど掲示板に質問があったので、無料券についての

話です。正式には「妊婦健康診査受診票」といいます。

通称「無料券」といいます。

妊婦健診をする時に市町村から補助されるもので、

東京は調布も含め全域で14回分になりました。

 

だいたい、流産をしなくなる、という12週を目安に使い

はじめて、定期的に通院すると12回から14回通うことに

なるので、ほぼ全期間を通して使えます。

 

ただ、われわれも「無料券」と呼んでいますが、無料に

なるわけではありません。通常、妊婦健診をする場合、

まず血圧測定、体重測定、尿検査があって、お話をして

超音波検査で赤ちゃんの成長度合いや奇形の有無を

調べます。

 

ただ、「無料券」では血圧測定・体重測定・尿検査・

腹囲測定・子宮底測定・お話、までしか使えません。

超音波検査代は別途かかってしまうのです。

 

また、血液検査も何回か補助されますが、エイズや

白血病ウイルスなど多くの施設で検査しているものも

補助されません。

 

ですので、「無料券」を使ってもほぼ毎回、お支払いは

出てきてしまうのです。

 

それでは、超音波検査、エイズ、白血病ウイルスの

検査をしなくていい、という方もいるかもしれません。

ただ、その場合、病院側がそのリスクを負うことに

なってしまいます。

 

超音波検査をしなければ、赤ちゃんに奇形があるかどうか

わかりません。エイズ検査をしなければ、エイズにかかって

いるものとして、お産のときには感染対策をしないと

いけません。

 

なので、もともとは公的負担でそこまでやってくれればいい

のですが、ちょっと中途半端かな、と思います。

 

ま、誰も「無料」だ、なんて言っていないわけですから、

これも言いがかりかもしれません。われわれ業界のものが

勝手に「無料券」と呼んでいるだけですから。

 

この4月までは5回だけでしたし、1年前までは2回だけ

でしたので、14回に増えた分、感謝しておくことにして

います。

 

これもずっと続いてくれるかどうかわからないようですし。。