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開設申請

 

昨日、無事に法人認可書が出て、今日、クリニックの開設許可

申請を出してきました。実際に出してきたのは事務長ですが。。

 

クリニックの開設には、開設許可申請を出して、開設届を出して

さらにその施設の使用許可申請を出さなくてはなりません。

自分で開いた施設の使用許可をまた保健所に願い出るとは

意味がよくわかりません。

 

事務長や大家さんとも話していたのですが、こういう複雑で

一見ばかばかしい仕組みは、ごくごく一部の、妙なたくらみをする

ような人たちを取り締まるためのものなんですよね、きっと。

そのせいで、普通にやろうとしている人たちがすごい迷惑を

被っているわけです。

 

役所はそういうのを取り締まるのが仕事だから、しょうがないんで

しょうけど。それにしても、面倒な仕組みのせいで開業を諦める

人がいるとしたらもったいないな、と思うくらいです。

 

まあ、なにはともあれクリニック開設にお手伝いしてくれたのだから

感謝です。こういう協力がないと成り立たないのですから。

 

いろんな人の協力で仕事ができている、というような基本的なこと、

勤務医をしていたのでは気付かないこと、たくさん気づかせてくれます。

 

大赤字

 

というのはウチではありません。

国立の高度専門医療センターが大赤字なんだそうです。

 

わずかに残された国立病院も、いよいよ独立行政法人となるにあたって

それぞれ何百億円、という借入をするんだそうです。ちょっと前に癌研究会

の病院が粉飾決算をしたと報道されたばかりです。

 

こういう種類の病院は、採算なんてなじまないと思うわけで、赤字が

膨らんで倒産、なんてことになったら世界中の笑い物です。ですが、、

 

以前、その国立病院の一つ、成育医療センターにいたときに電子カルテの

バージョンアップがありました。その際に、コンピュータ全部入れ替え、

それに対応するモニタ類も全部入れ替えてました。まだ5年しかたって

いないのに、、、

 

昭和病院なら新品の部類に入る機会が次々と運び出されていく様は

ちょっと衝撃でした。。。

 

ただ、それにしても、ちゃんと税金をしっかり部分だとは思います。

 

届け出の山

 

打ち合わせがどんどん切羽詰まったものになりつつある

最近です。

何より大事なものが、届け出関係。

 

開設届や保険医療機関の届け出、産婦人科なので母体

保護法指定医の届け出、それらに加えて従業員の労働

関係や社会保険の届け出。

 

届け出ばかり山ほどあります。

幸い事務長がかなりやってくれているのですが、代わりに

やってくれる人がいなかったら大変。

 

医療コンサルタントが必要なのも、暴利を上げているのも

うなづけます。これをやるには常勤で勤め続けるのは無理。

その分のロスを考えれば、コンサルタントに莫大なお金を

払うのもしょうがないかも。。。

 

 

お金とやりがい

 

久しぶりにブログを読んだという外来のミユキさんに、

「トーンがずいぶん暗くなっちゃったね」

と言われてしまいましたが、別に元気です。いたってポジティブです。

 

4月1日に開院が決まりましたが、4月3日に学会のシンポジウムを

開催するという大仕事も待っています。

テーマは

「産婦人科医が元気になるために」

 

このテーマがネガティブなのかな。。。

 

最近よく報道されるように産婦人科医は減っているのです。男性に

限ればその減り方は異常です。20年前は毎年300人くらいの男性

産婦人科医が誕生していましたが、今はおそらく100人を切ってい

ます。

 

人が減ると給料を上げればいいんじゃないか、っていう話があって

都立病院では産婦人科医の給料が3割程度アップしました。

でも人数は増えません。

 

当然、って思います。

 

今の勤務医の給料が適正かどうかはわかりませんが、人が増える

まで給料を上げ続けるのは無理です。

それよりもやりがいを持って働ける職場環境を作れば、人は集まる

はずです。忙しいから人が集まらないならそんな人は医者に向いて

いません。

 

今の医者の勤務の中で問題なのは、評価するシステムがないこと

です。患者さんからの評価、というものはあります。ですが、それは

ごく一部の有名になった医者だけで、それも本当に腕がいいのか、

マスコミへのアピールがうまいだけなのかわかりません。

 

多くの医者はお互いに評価するシステムがないのです。専門医

なんていうのはほぼ形骸化しており誰でも取れます。しかも臨床の

腕とは関係ありません。これは産婦人科に限っての話、ですよ。

 

お互いの評価がないということは、患者さんにとってはテキトーな

医者ができたら困る、ということになるし、医者にとってみれば

自分がどの程度の知識、技能なのかを確認できないので、漠然と

不安でもあり目標設定が難しいのです。評価されることがないから

そういう意味でのやりがいを感じにくい。

誰だって褒められたい、それは医者も同じです。

 

きちんと評価できるシステムができればいいな、と思って、そのため

には何が必要なんだろうかと、開業準備の合間に考える日々です。

 

八王子へ

 

先日、八王子まで行ってきました。

都立八王子小児病院です。あまりにお世話になったので、

お礼がてらどんな所か見てきました。

 

八王子小児病院は赤ちゃんを運ぶ救急車を持っていて、

手が空いていれば状態の悪い赤ちゃんを迎えにきてくれて

そのまま、治療できる病院まで連れて行ってくれるのです。

 

だいたい1年に1回くらいお世話になっているのですが、

いつでも気持ちよく対応してくれるので助かります。

 

そこで、ちょっと行ってみたら遠いのなんの、遠いです。

中央高速で行くと時間的には高井戸から30分くらいなんですが

景色が一変するのですごく遠くにきたみたいな感じです。

 

カーナビに連れられてきたものの、住宅街の中で思わず

存在に気づかず通り過ぎてしまいました。小さくて古いの

ですが、実力とやる気は随一、こんなところでも頑張っている

先生たちがいるんだなぁ、と妙に感動してしまいました。

 

夜、結構遅かったのに新生児科の先生が3人も残っていて

仕事していました。まったく頭が下がります。

 

こういう人たちの働きが、もっと知られるといいのに。。

 

使えば使うほど損をする

 

初雪、そのあとの冷たい雨、寒かったですね。

 

ちょっとびっくりする話を聞きました。ワタシが知らなかった、

というだけなんですけれども。。

古い薬って薬価がどんどん安くなっちゃって、コストは上がる

から使うと損をする薬があるのです。安くて便利な抗生物質

なんかはそうなんです。

 

ついつい安いので使うのですが、一応、製薬会社には申し訳

ない、と思いながら使っていました。

 

ところが、子宮収縮薬、いわゆる陣痛促進剤もそうなんですって。

いま、点滴で使えるのは2種類しかないのですが、おそらく

両方とも使うほどに製薬会社は損をするような値段になって

いるそうです。

 

陣痛促進剤による分娩事故もありますが、なければもっと

帝王切開が増えたり無理なお産が増えることは間違いなく

とても役に立っている薬なのです。

 

それが、赤字を作り続ける薬とは。。。

それに代わる薬もないので、われわれ産婦人科医はこの

薬を使い続けるしかないのです。

薬価を上げようとすると、薬で金儲けするのか、なんて声が

出るのだそうです。

そんなにがっぽがっぽ儲けなくても、少なくとも赤字はない

んじゃないですかね。。

 

こんなところにも産科医療に国が本腰を入れてない一面を

感じてしまいます。

 

あけましておめでとうございます

 

いよいよ開業イヤーの幕開けです。

準備ばかりしているので早くクリニックをオープンして仕事をしたい、と

思っています。

 

去年も産婦人科を取り巻く状況はあまり良くならず、むしろたらい回しだ

などと報道され、医師の数が増える見込みはなさそうです。最終的には

産婦人科医師の数が増えないとどうにもならないのですが。

 

今年は昨日から、産科医療補償制度がスタートしました。それによって

お産の給付金が上がって、また10月からも少し上がるなんて話もあって

それがどれほど機能してくれるでしょうか。

 

産婦人科医の当直料がべらぼうに上がって、ちょっとおかしいと思って

いるのですが、お金の使い方が間違っています。これは病院とか開業医

がお金を出すからこういうことになっているんですが、国が主導権をもって

周産期医療の保険診療の点数アップ、集約化をするならその整備、

などにお金を使うべきです。

 

たぶん、多くの医者は時間が欲しいのであってお金が欲しいわけでは

ありません。と言っても、一般的に見れば今でもそれなりにもらっている

のです。

 

ただ、休む時間がないからやめていく。その時間確保のためにお金を

使うべきではないかと思っているのです。それには個々の病院単位で

考えてもだめで、もっと大きな視点で考えないといけないでしょう。

 

医療は純粋な市場原理にはなじまないわけで、なじませようと思ったら

お金を持っている人は医療を受けられて、そうでない人は受けられない、

という事態が起こります。

アメリカでそういうことが起こっているのに、そしてそれはよくないと

誰もが思っているのに、医療費抑制の名の下、そこに向かっている

のです。

 

こういう議論が活発になって、少しでも動いていけばいずれいいものが

出来上がるのではないか、とも思います。

産科医療補償制度がそのスタートになりうるかどうか、動き始めたこと

はともかくもよいことかもしれません。

 

大きなことを言っても、私はまずクリニックを軌道に乗せること、そこから

頑張っていかねば。

今年も、いや今年こそ、よろしくお願いいたします。

 

帝王切開 2

 

今日もいい天気でした。オンコールはありますが、家で過ごして

いますし、ちょっとした外出もできるので落ち着いた年末です。

 

さて続きです。

私は、経腟分娩至上主義ではありません。ですが帝王切開が

いいとも思えません。何もしなければ経腟分娩になるわけで、

でも医学の進歩があって帝王切開にするべき症例が増えて

きているのも真実です。

 

ですが、逆子なら必ず帝王切開とかいうのは産婦人科医の

怠慢、というか思考停止なんだと思っています。そこで考え

なければ産婦人科医の意味がありません。帝王切開など

100件もやれば一人でできるようになってしまいます。

 

ただ、やはり危険性が高いのは高いですし、そういうお産には

人手が必要になるので、クリニックで扱うとすると今までより

判断を厳しくしないといけないな、と感じています。

 

自分ではそう思っていますが、妊婦さんもそう思ってくれている

かどうか、それもいつも気になります。

帝王切開だろうが経腟分娩だろうが、妊婦さんと同じ方向を

向けたと感じるときはいいお産だと感じられますし、そうで

ないときはただの自己満足か、とがっかりしてしまいます。

 

クリニックでやることで、より密な関係を築いて妊婦さんと

同じ方向を向けるように頑張っていきたいと思っています。

 

帝王切開 1

 

久しぶりに医療についてのお話です。

妊婦さんから質問があったり説明会でもちょっと聞かれましたので

帝王切開に対する私の思いを少し。

前にもちょこちょこ書いてますけどね。。。

 

今の日本の帝王切開率は15%くらいです。早産とか高齢での合併症

のある妊娠なんかが増えているので、クリニックで扱うような分娩では

10%弱かな、という印象です。あくまで印象です。。

 

よく問題になるのは、逆子、前回帝王切開、双子です。

これ以外のものは帝王切開をすることにあまり議論はありません。

この3つはだんだん帝王切開されることが多くなってきています。

 

理由は、逆子の場合帝王切開のほうが普通分娩よりも赤ちゃんに

危険が及ぶ確率が低い、というアメリカでの論文が出たことです。

前回帝王切開についてもアメリカで帝王切開すべき、という論文が

出て、それが否定される論文が出たにもかかわらずその名残がある

ため、双子については、二番目の子が分娩時に逆子になることが

ときどきあるから、です。

 

あとは訴訟の問題です。

赤ちゃんに障害が残ろうが残るまいが、帝王切開していれば

全力を尽くしたとして医療側が負けることはあまりないのに、

普通分娩の場合、それに固執したからだ、と医療側が負ける

ケースが多いためです。

 

こうして、10%程度が帝王切開になっています。

でも、私はそれは本当に必要なものなのだろうか、という疑問を

いつも持っていますし、産科に携わるならそのことを常に考えて

いるべきだと思っています。

 

一人医師について

 

今日も忘年会。楽しい会も続いてくるとなかなか。。

 

ところで、説明会でも質問がありましたが、クリニックが一人の医師で

やることについてですが、メリットデメリット、いろいろあります。

 

まずはメリットですが、ずっと同じ人が診療をすることで、信頼関係が

うまれやすい。診療方針にブレが出ないし、スタッフ全体を通しても

意志の統一がしやすいです。

 

一方でデメリットは、風邪ひいたときとか体調不良の時はちょっと

大変かもしれません。そうならないように体調管理には今まで以上に

気をつけないといけません。

 

ちなみに私はいままで仕事を体調不良で休んだのは7年半で1日。

これくらいであれば急きょ、ピンチヒッターをお願いしても大丈夫かな

と思っています。

 

あとは緊急時の対応ですが、出産に関してはどんな緊急であろうと

医師の役割は一人で十分です。人数は多いほうがいいですが、

それは連絡役とか、物を運んだりとか医師である必要はないもの

ばかり。ですので看護師、助手などのスタッフを手厚くしておくこと

のほうが大事になります。

 

そういったことで、あえて数を多くして手広くやるよりも、医師が

ひとりで手厚く患者さんに向き合うことを選びました。

こうした方針に共感していただければ、とても快適なクリニックに

なるはずです。