週末の当直も終盤を迎え、明けの月曜からの日常勤務に
備え眠りについたころ、呼び出し電話が鳴りました。
うーん、眠い!
性器出血があって、お腹痛くて、、、ふんふん、婦人科系
だから診察しましょう、と奮い立って救急外来へ。
すると、うずくまったまま動けない女性。受け答えもはっきり
しません。幸い血液検査と点滴は看護師さんがしてくれて
います。
さて、婦人科の診察をしたいのですが内診台までとても
自力では歩けません。看護師さんと二人でえいやっと
乗せると、なんと、突然全身を震わせ目の焦点は定まらず
ばたばたし始めました。と同時に嘔吐。
ふえぇ~~~。
1分ほどで落ち着き、意識を取り戻しましたがとても内診は
ムリ。ではストレッチャーに移しましょう、ということでまた
えいやっと乗せると、今度は大丈夫。
いやな予感とともに超音波をお腹にあてると、お腹の中は
液体で充満!
性器出血もあるとすると、、、
ワタシ「妊娠反応見て、すぐにオペっ!」
本人、両親に説明、手術室に連絡、手術を一緒にする
レジデントを呼び出し、妊娠反応の結果を見ると案の定
陽性。
子宮外妊娠の破裂、それによるショックです。
やる気に満ち満ちたレジデントが駆けつけてきました。
手術をすると決めてから約10分、患者さんはもう手術台の
上です。
手際のすぐれた救急外来、手術室のスタッフ、麻酔科の
医師、みなさんのおかげでした。
お腹をあけると、血液が噴き出してきました。合計1.7リットル。
体内の約40%程度の血液が一瞬にして失われています。
でも女性は強い、血圧は低めながら安定しています。
すぐに出血部位を確認し、切り取って止血を確認。
なんとか輸血をしないで乗り切れそうです。
こんなのを専門用語で、”ど緊急”、と呼びます。ど緊急が
産婦人科の醍醐味。産科でも婦人科でも起こりえます。
ひと仕事をやり終え、達成感に浸りつつ
ワタシ「産婦人科、なかなかやりがいあるでしょ?」
レジデント「そうですね、驚きました。
でも、ぼくはやっぱり小児科希望ですね」
ワタシ「あ。。。そう。。。」
でもできる限り産婦人科の魅力を伝えていくつもり。
へこたれませんよ。