今日は大切な人が亡くなりました、という話を聞きました。
先週のことだそうです。私が何らかの形でかかわった人で
大切でない人などいないのですが、こういうときはいつも
無力感に襲われます。
病院で亡くなる場合、ほとんどのケースでは現在の医療
レベルでは助けられないものです。それががんによるもので
あるにしろ、産科の救急によるものであるにしろ、です。
そのときわれわれ医者はどのように受けとめるのか。
少なくとも私はどのように受けとめるのか。
現在の医療レベルでは無理なんだからしょうがない、とは
なかなか思えないものです。もちろんやりようはないので
とてつもない無力感が襲います。
ただ、そのつど自分を責めたりするととても医療など続け
られるものではありません。
なので、最後は人として全力を尽くせたかどうか、が自分を
助ける(あくまで自己満足ですけれども)基準になります。
医療はできないけれど、きちんとそばにいられたか、話を
聞いてあげられたか、話しかけ続けることができたか、
そういうことが、自分への救いになります。
今回は、私が病院を移ったせいでそういうことができません
でした。なのでいっそう腹のそこに響くような無力感を感じます。
長い闘病生活、つらいことが多かったろうと思います。いまは
安らかに、と願うばかりです。
心よりご冥福をお祈りいたします。