医療はどこまでできるか

 

またもや妊婦さんの脳出血の話題がありました。

わが調布で起こったこと。それほど頻繁にあるわけではないはず

ですけど、都内で続いたのでちょっと心配。

ただ、相変わらず、病院の受け入れ拒否、ということばかりに焦点

が当てられているのは残念です。

 

そのことについては書きはじめるときりがないので、ちょっと話を

そらして。

 

患者さんと医療側でトラブルの原因になるのは、医療に対して意識

のずれがあることがほとんどです。今回の報道にもそのずれが大きく

感じられます。

 

ところで、

「自分はこんなに体の不都合を感じている、だから全部治してください」

と言ってこられる患者さんがいます。それほど多くはありませんけど、

医療はそんなに完璧ではありません。

というより体は結局自分の力で治るのであって、われわれ医師はその

お手伝いをするだけ。できることとできないことがあります。

 

でも、自分の状態がすぐにぴしっと治らない、とわかると急に不機嫌に

なってしまうのです。こちらの説明の仕方が悪いのかもしれませんが、

正確な診断をして、正確な情報を伝える、あるいは正確な診断はできない

と正直に伝える、それしかやりようがないのです。

 

ですが、それ以上のものを求めている人には不十分。

それで医療不信、といわれることもあり、こちらからすると認識の差、

以上のものではないのですが、残念です。

 

「そんなの、勘違いしている患者さんが悪い」

と割り切れる医師もいますが、私はどうしてもひっかかってしまいます。

そのギャップをどうしても埋めたいと思っています。ですので、患者さんと

向き合って話し合うために地域医療に向かっていきたい、と思うのです。

 

こうしたずれを解消できるのはいつの日かわかりませんが、少しでも

いい関係を持てるようになりたい、と願っています。それが医療者側の

やりがいでもあるのですから。

 

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このページは、金子英介が2008年11月 5日 23:22に書いたブログ記事です。

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