サイダツ 1

 

梅雨の中休み、やはり今年も暑い夏になるそうです。

熊谷では昨年40度越えの反省を生かし、50度までの

温度計を作ったそうです。。。

 

ところで、表題のサイダツ、SAIDATSU、臍脱、、臍帯脱出

の略です。赤ちゃんが生まれる時、体が全部出る前に

へその緒が出てくることのことです。へその緒が先に出て

しまうと赤ちゃんの体や頭と産道の間で圧迫されて、赤ちゃん

に血液が届かなくなりとても危険な状態です。骨盤位、

つまり逆子の時に起こりやすく、逆子が帝王切開になる

理由の一つになっています。

 

 

先日、あるお産のとき、子宮口が5cmくらい開いたところから、

ときどき赤ちゃんの心音が低下していました。ただ、すぐに

回復するし、回復したときはとても元気そうなモニター状況で、

かつ経産婦さん、陣痛もよく来ていたので様子を見ていました。

 

その後、心音はときどき低下するものの、臍帯がらみのものでは

ないか、というパターンで臍帯が首に巻きついているのだろうと

思っていました。診察すると、胎胞といって赤ちゃんを包んでいる

膜がパンパンに張っていて頭さえ触れず、どんどん進みそうな

感じです。

 

30分後、

助産師さん 「心音が落ちてまーす、分娩室でーす!」

ワタシ 「はいはーい」

それまでは陣痛室という準備室にいたので、分娩室ということは

お産になる直前です。やや安心しながら分娩室に駆け込むと、

心音が確かに下がって3分くらい戻っていません。診察すると

もう胎胞が膣からはみ出すほどに進んでいたので、

(もうお産だな)

ワタシ 「では破膜しまーす」

赤ちゃんを包んでいる膜を破ってお産にしようと思いました。

 

えいっと膜を破って、また内診。

(んん??んんん???)

なんだか赤ちゃんの頭の前にコリコリしたものが触れます。

(便秘かな?)

ときどき膣越しに便をコリコリ触れることがあるのでそうも

思いましたが、そのコリコリがつかめるのです。

ちょいと引っ張ってみると膣の中から出てきたものは

SAITAI、さいたい、臍帯!!!

 

開業への道のり 8

 

さて、どこに開業するか、場所選びはなかなか

難航しました。結構広さが必要で、具体的には

300坪くらいの土地を探していました。

 

坪。。。 だいたい一坪がどれくらいの大きさかも

わかりません。さっそくネットで調べると一坪は

3.3㎡。とすると、300坪って1000㎡?ってどれ

くらい?

 

住んでるマンションが70㎡くらいだから、15倍

くらいか、って想像がつきません。

 

さすがのノムさんも土地探しだけは時の運みたいな

ところがあって、一生懸命ツテを使って探してくれて

いましたが、なかなか見つかりません。

 

そうこうしている間に、ベッド規制の問題が迫って

 きていました。各地域に入院ベッド数の規定が

あって、もう埋まっているところにはあらたに病院、

診療所は立てられません。

 

すると東京西部の中でも限られてきて、府中、調布、

国立、国分寺あたりに絞られてきました。

 

しかも、申請期限は7月31日、ノムさんに初めて

会ったのが4月中旬でしたから時間はわずかしか

ありません。

 

同時に、銀行から融資を受けないといけません。

また開業許可は東京都庁がするので、金融機関、

都庁にあいさつ回りです。

くそ暑い中、一張羅の冬物スーツで大汗をかきかき

事業内容をプレゼンです。

 

とはいってもノムさんの今までの実績でほとんどスルー。

ノムさん「気持ちが伝わればいいんです。」

の言葉どおり、あまり内容は問われていないようでした。

開業医の診療についてはどこも同じようなものだから

でしょうか。

 

さて、あとは土地

 

ベテランの力

 

この週末、陸上の日本選手権で為末、朝原の両ベテランが

輝きました。ちょっとばかり大学時代に陸上をかじっていた

せいで、陸上の話題は気になります。

 

とくに為末は直前まで不調と言われもうオリンピックは無理だ

と言われていたのに。。

本人も「奇跡が起きた」と言ってましたが、決勝レースは感動

しました。不調の中、前半から激しく飛ばす彼のスタイルを

貫き通し、最後の直線は第一人者の意地と気力を見せつけた

ような走りでした。

 

生で見られなかったのが残念。。。

 

ただ、これは日々の練習の裏付け、昨年の大阪での失敗に

対するリベンジの気持ち、そんなものがあらわれて成し遂げた

「奇跡」、と感じました。

 

ベテランと言われますが、私とほぼ同年代。計り知れない

プレッシャーに若いころから耐え続け、ここぞという時にこそ

力を発揮することができる人間力が養われたのでしょう。

 

私もがんばろっと、と言いながら、今日はCHANGEでした。。。

 

母乳育児学習会

 

この週末は、松本で母乳育児学習会に参加してきました。

松本におそらく助産師さんを中心に小児科医、産科医が

約1000人集まって母乳育児に対する勉強をしました。

 

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母乳は粉ミルクに比べ利点がたくさんある、という主旨で

感染予防、母子の愛着形成、というのが根拠だということ

でした。

 

これは今のおばあちゃん世代がこどもを産んだとき、結構

粉ミルクが流行ったのをいまだに引きずっているところが

多いらしいのです。

 

私が学生の頃にはもう母乳の利点が言われていました

から、勉強会の内容は自然に受け入れられるものでした。

ちょっと難を言えば、母乳にこだわりすぎて粉ミルクは

絶対禁止、みたいに聞こえるところもあったところでしょうか。

 

母乳で育てたいのはやまやまだけど、仕事があったり、

母乳が出なかったりする人もなかにはいるのだから、

まあできれば、くらいのスタンスのほうがいいのでは

ないか、と思いました。

 

WHO(世界保健機構)はさかんに推奨しているようですが、

発展途上国で粉ミルクが清潔に作れないような場所を

想定して、それなら絶対母乳がいい、という意見はわかり

ます。いまの日本ではちょっと状況が違うかな、という気が

しました。

 

 

ところで、松本に行ったついでに諏訪によって古い友人

をたずねました。諏訪、ということで何かと話題の

諏訪マタニティクリニックを見物してきました。

 

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思ったよりハイカラ。いつも畳の部屋で正座して

記者会見しているものだから。。。

開業への道のり 7

 

久々に続きです。

さて、タカヤ先生にノムさんを紹介され、開業がぐっと現実味を

帯びてきました。

 

ノムさん 「まず開業するにあたり先生の理念を言葉にしてください」

ワタシ 「はぃ」

 

そう言われるとなかなか恥ずかしい。こうしてブログに書いてますけど

理想とか夢とかって、人に説明するとなるとどうも青臭くなって恥ずかしい。

やっぱり理想はなかなか実現しないので、日々理想と現実の折り合いを

つけながら診療しています。だからちょっと無理かなって思う部分も

あるんですけど、でもやっぱり理想は捨てられない。でもそれを他人に

説明するとなると、うまく伝わるか、とか、思いっきり否定されるんじゃ

ないか、とか。。。

 

しかし、他人に言わなければ誰も理解してくれない。しかも開業するなら

同じ気持ちの人と働きたい。そこで、勇気をもって、、、

 

ワタシ 「自分の力が及ぶ限り、自分で診た患者さんはずっと診たいんですっ!

      病院ではしたくてもしてあげられないことをしたいんですっ!」

ノムさん 「あ、そんなんでいいです」

ワタシ 「どうも。。。」(あ、何でもよかったわけですか。。。)

 

ま、言葉にしておくってことが大事なことだそうです。

そこで生まれたスローガンが

“女性のトータルライフをサポートする”

です。ただでさえ通いにくい産婦人科、快適な空間とおもてなし、ベストの

医療を提供できれば、女性が気軽に自分の体の手入れをし、そして社会で

活躍する、そんなお手伝いができれば、という気持ちを込めました。

健全な精神は健全な肉体に宿る、ですね。

 

続いて、開業予定地を探す作業に入ります。

すでにマーケティングはできているので、っていうか、東京の市部では

どこでも分娩施設が足りないので、どこでもいいっていう感じでした。

あとは私の希望する大きさの土地があるかどうか、そして、連携する

高次医療機関があるかどうか、これが問題です。

 

地域医療連携

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ここのところ、こんな話ばっかりです。

産科医療再編成に向けて、ほぼ連日いろんな

ところで会合が開かれています。

 

今日は、世田谷、目黒、渋谷地域の連携についての会がありました。

この地域の無床診療所ってものすごい数あるんですね。ひと地域

20個以上はあるんじゃないでしょうか。人口もとんでもないから、

それでもどこもそれなりに忙しいそうです。

 

調布は市内に全部合わせても10個以内、分娩取扱いはごく少数も

含めても3つ程度です。

 

ちょっと状況は違いますが、方針としては大体固まってきているようです。

各病院、診療所で見ている妊婦さんが診療時間外に受診したい場合、

当番を決めておく、ということだそうです。まずそこで判断して、必要なら

病院に搬送するという手続きをとるそうです。

 

そうすると月に2回程度当番をこなせばいい、ということだそうです。

で、そのために共通のカルテを作って妊婦さんに持っていてもらう

ようにするそうです。

 

でも、産婦人科って文字通り産科も婦人科もあるから、当番から

はずれても完全に拘束されない、ということではないですよね。

婦人科の患者さんに対しては当番制はとらないわけですから。

 

多少なりとも負担が減れば、というところからのスタートでしょうか。

ここに至っては、まずはスタートすることが大事、ですね。やって

みないといい点悪い点、わかりませんもんね。

 

早ければ来年にはスタートしたい、ということです。

「産科医療崩壊の」解決への一歩になることを願って。。。

 

ダイエット

 

静岡県富士市で産科開業に最大1億円助成とのことです。

市立病院の撤退が決まっているそうで、緊急で条例を可決

したそうです。すごい危機感。。。

 

ところで、最近体調良好です。1年前からはじめたダイエット、

落ち着いてます。リバウンドしません。そういえばランニングも

続いていますが、秘密はそれではありません。ランニングは

むしろ太ります。

 

1年前から比べると、4~5kg減ってます。ランニングや筋トレ、

もちろんビリーもやりました。どれもすぐにリバウンド。

成功の秘訣は、

新潮新書、岡田斗司夫著 「いつまでもデブと思うなよ」

です。いろんな番組で取り上げられましたが、やっぱりいい。

 

ほんとに書いたものをメモするだけでいいんです。メモして

みると、こんなに食べたのかと確かにうんざりします。

慣れてくると腹八分目の快感、満腹のときの不快感が

はっきり感じられて、今はもうメモは要りません。

 

体調がいいとランニングしても気持ちいいです。実はもう

6月、走行距離54kmになりました。

 

建築許可

 

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またまた前進です。

設計図面の確認申請が終了、無事許可された

とのことです。申請から約2ヶ月、思ったよりは

早い許可でした。

一番ひどいときは3ヶ月から4ヶ月とかかかったり

していたみたいですから、よかったです。設計士さん、オーナーさんの

ご尽力のたまものです。ありがとうございます。

 

いまは、既存の建物を取り壊していて、整備が済めばすぐに着工と

なります。いよいよ本格始動、です。

 

こちらは医療器械の選定に入りつつあるところですが、同時に業務の

流れを徐々に決めていく作業に入ります。いろんな病院、クリニックの

マニュアルを参考に、一番快適なものを作っていこうと考えています。

わくわくしちゃいますね。

 

ピルが安くなる?

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来週はずっと雨、むしむししますね。

 

先日低用量ピルが保険収載されました。

子宮内膜症の病名で保険がきくように

なったのです。

もともと低用量ピルは避妊薬なので保険適用されていません

でした。ただ、現場では避妊のためと同じくらい生理痛とか

生理不順のために使われています。

 

それだけ効果があるということが実証されているのに、自費に

なって患者さんの負担が高い、というのは問題でした。それが

ようやく保険適用になって解消される、と思いきや。。。

 

なんと薬価がバカ高く332円、ということは3割負担で110円、

21日間飲むからそれだけで2310円、自費扱いの時とほとんど

変わりません。薬局によっては自費のほうが安いかもしれません。

 

こんなことになってしまったのは、製薬会社の思惑が働いたとか

働かないとか。働いたに決まってますけど。。。

 

保険適用で医療の正当性が保障されるからいいではないか、

ということらしいですけど、誰のための医療かって話ですよね。

 

出産と職場復帰

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後輩の産婦人科医が出産しました。

予定日をだいぶ過ぎ、子宮内で少し感染が

進んだとのことでしたが、無事元気な赤ちゃん

が生まれました。おめでとうっ!!

 

仕事熱心だった彼女もすっかり母親の顔を

していました。

「これからの産科診療にこの経験が生かせそう」とのこと、

今までも信頼の厚い医者でしたが、ますます厚みを増していい医者に

なるんでは、と思いました。

 

ただ、なかなか今までのようにフルタイムでの現場復帰は当面

難しそうです。これは産婦人科医だけに限った問題ではないですが、

産婦人科は女性の割合が多い、当直必須、という特殊事情から

こうした問題の影響をもろに受けやすいです。

 

こうしたことで、ただでさえ少ない産婦人科医がますます減って

いきます。対策を考える企画があちこちで行われていますが、

特効薬はありません。どうしたらいいでしょう??

 

パート勤務もフルタイムで頑張っている先生たちに気を遣うので

乗り気しない、とのこと、その気持ちも十分わかります。

 

社会全体の問題も含まれるので、個々の病院、業界だけの

対応では追いつかない問題がたくさんあります。

おまけに、医療業界はほかの診療科に興味がないことが多く

院長が産婦人科医でないと適当にあしらわれて、崩壊してから

気づくみたいなことが多くなっています。

 

いい知恵を貸してください。。。