後医は名医

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今日は誤解を招きかねない話です、と最初に断っておきます。


後医は名医、っていいまして、あとから診た医者は前に診た
医者よりもずっと良く物事が見えて、診断が正確になることから
そういう風にいうのです。


開業して、後医じゃなくて、前医(って言葉があるのかどうか
知りませんが)になったらもう大変。

総合病院にいたころ、紹介してくる開業医の先生の診立てを
「なんだよー、こんなの見逃すかねぇ」
なんて言っていた(もちろん内々でですけど)自分を恥じています。


そうなんです、見逃します、普通に。
っていうと医療ミスみたいに聞こえますが、そうではありません。
念のため。
ちょっとしたことなんですけどね、それに気づけば余分な検査は
しなくて済んだのに、みたいなことです。


だから、医者は普通、どんなにひどくてもほかの医者の
診立てを批判はしません。明らかに間違っていても、自分は
その間違いを知った上で診るので、有利なのです。


もちろん間違いは間違いと伝えます。でもそれはミスではなく
正確な診断にたどり着くまでの過程に起こるもの、という
ことを伝えなければなりません。


産科医療補償制度っていうのがあって、お産で事故があった
ときに、これこれこういうミスがあったみたいに検証するんです。

それをなんと公表するっていうんですからひどいですね。
検証する人は後医ですから、なんでもわかっちゃう。


すごい低レベルの初歩的なミスとか、悪意があるとか、
そういうのはちゃんと公表して処罰しないとだめですけど、
その時ベストだと選択したものが、結果として悪かったから
といって公表されてしまっては、だれもお産をやる人がいなく
なっちゃいます。


というのも、どうやったって事故は起こるからです。
そういう前提で、こういう仕組みを作らないとだめですよね。
事故ゼロを前提で仕組みを作ろうとするからこういうシステム
になってしまう。


こうやってわれわれのやる気をそいで、若い人たちの希望を
奪って、産科医療のレベルが落ちて行くんでしょうね。
結局は国民全体の不幸になります。

これは決して大げさな話ではなくって、とくに開業医の仲間と
集まると必ずこういう話題になる。

やっぱり政治をやらないとだめなんですかね。。。


この話、ありきたりだかなとおもって
「後医は名医」でネット検索したら大量に同じようなブログが
でてきました、やはり(笑)

しかも産婦人科、多い(苦笑)



このブログ記事について

このページは、金子英介が2012年4月19日 15:48に書いたブログ記事です。

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