海堂尊といえば、「チームバチスタの栄光」の作者ですが、
最近の著書はどんどん傾向が変わってきているようです。
本当に言いたいことを言い始めたということだと思っています。
初めのほうはエンターテインメント色が強くて、結構笑えたり
していたのに、最近のは本当にシリアスな感じです。
近著「極北クレイマー」は初版4月30日になっていますが、
その前に本屋さんにあったので買ってきました。
わが産婦人科の「大野病院事件」がモチーフになっています。
医療費削減と司法の権力拡大がテーマで、これは事件
直後から産婦人科医の中でもちょくちょく話題になっている
ものです。
医療には限界があって、できることできないことがある。できない
ものができなかったからといって、逮捕されてしまえばもう
やめるしかない。
というのが、海堂さんと多くの医者の意見です。
海堂さんも医者だそうですから、その立場を代弁しているものと
考えていいんだろうと思います。
これは医者にとっての正論なんですが、医者が言うとなんか
自己弁護しているみたいで説得力があるかなぁ、というのが
心配です。といって誰かが言ってくれるわけではないので
しょうがないんですけどね。
さて、翻ってワタシはというと、当然ですが産婦人科医をやめる気は
さらさらありません。
自分のベストを尽くしてそれが理解されないならそういう運命だと
割り切るしかないと思っています。
それは危機意識が足りない、という人もいますが、日々勉強を
して、一生懸命仕事をする以外に何をするというのか。
仕事をする場がある幸せを感謝しながら、さて自分の仕事は
これでいいのだろうかと毎日自問自答して、患者さんと正面から
向き合っていく、これしかありません。