医療: 2009年11月アーカイブ

 

掲示板にご質問があったので、こちらでお答えします。

ちょっと長いですし、興味のない人には面白くない話題です。

すみません。。

 

直接支払制度が厚生労働省の肝いりで今年の10月から

始まりました。

どういう制度かといいますと、、、

 

産婦さんと産科施設の間で契約書を交わして、従来なら

産婦さん本人またはご家族に支払われていた出産一時金を

直接産科施設に払ってもらうようにする、というものです。

その額は42万円ですので、うちの場合なら10万円を予約金で

いただいていますので、ほぼ精算なしで済みます。

 

産婦さんはお金を一時にたくさん用意しなくて済みますし、

産科施設は取りはぐれがない、ということで両方にとって

メリットがある、というのが厚生労働省のうたい文句です。

 

ところが、、、

実は産科施設にはメリットはほとんどありません。

どころかデメリットばかり。。

 

というのも、出産して出産費用を払わずに逃げてしまう人など

ほとんどいません。

 

従来、産婦さんが健康保険組合に請求して一時金をもらって

いましたが、その事務手続きを産科施設で代行しなければ

ならないので、その仕事量が膨大になります。この手数料を

3万円程度上乗せしてもいいことになっていますが、それは

産婦さんの負担になってしまいます。

 

しかも、この手続きは前もってできないため、出産してから

42万円が振り込まれるまで約2か月かかります。

つまり、2ヶ月間、出産費用の8割程度が未払いになってしまい

ます。

 

産科施設は、出産費用が収入のほとんどを占めますので、

収入が2ヶ月分、従来の30%程度になってしまいます。

それが2ヶ月後に返ってくるかというと、ずーっと2か月遅れに

なってしまいます。返ってくるのは出産の取扱いをやめたとき。

 

こういう制度を作り上げた人は、自分の給料が今後2か月

30%になることを考えて作ったのでしょうか?

想像力が全く足りないとしか思えません。そういう人が国の

形を作っているんです。。。

 

一方で、産婦さんにとってみれば、、

従来から、健康保険組合には貸付制度と言って書類を1枚

出せば、出産前でも出産一時金の8割程度を借りられる制度

があるんです。

ですので、本当に現金が足りない場合は、その制度を利用

すれば済む話なのです。

 

そして、これは自民党政権の時に、ちょー駆け足で作られた

制度ですので、民主党に代わってこの制度がいつまで続くのか

わかりません。

 

というわけで、この制度自体に反対してるので、ご理解いただけ

れば、と思っています。

 

 

インフルエンザについては相変わらずテレビで情報を得る

ワタシです。都も医師会も、産婦人科学会もなにも声明を

出す前にテレビで出るのだから呆れます。

 

昨日のテレビによれば妊婦さんの接種は1回、健常成人と

同じ扱いになりました。すでに東京や大阪では妊婦さんより

小児優先とのことで妊婦さんにとっておいた分を先にこども

さんに回すと決定した、との報道もありました。

 

後出しで言うのはずるいのはわかってますが、この題名の

通り、どうしてもワタシには妊婦さんが重症化する、っていう

イメージが湧きませんで、優先するのはいいけど危機感を

あおるのはやだなぁと思っていたわけです。

 

それが今になって健常成人と同じ扱いでは、妊婦さんは

たまったものではありません。あれだけあぶないあぶないと

言っておいてねぇ。。

 

産婦人科学会はそれでも妊娠中は後期により重症化

しやすいとの声明を出してますが、もはや意味不明です。

 

というわけで、当院通院中の妊婦さんでワクチンがまだ

間に合わないからと言って悲観することはありません。

最終的(っていつ?)には全員分うてることになってます。

 

 

一つだけ良かったことがあるとすれば、季節性のインフルエンザ

ワクチン接種を今まで毎年妊婦さんに勧めていましたが、

ほとんどスルーされていました。今年は結構みなさんうってます。

 

リスクが特別高いってわけじゃないけれど、うっておいた方が

いいっていうくらいですけどね。

これが来年も続けばいいですね。

 

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