医療: 2009年1月アーカイブ

 

というのはウチではありません。

国立の高度専門医療センターが大赤字なんだそうです。

 

わずかに残された国立病院も、いよいよ独立行政法人となるにあたって

それぞれ何百億円、という借入をするんだそうです。ちょっと前に癌研究会

の病院が粉飾決算をしたと報道されたばかりです。

 

こういう種類の病院は、採算なんてなじまないと思うわけで、赤字が

膨らんで倒産、なんてことになったら世界中の笑い物です。ですが、、

 

以前、その国立病院の一つ、成育医療センターにいたときに電子カルテの

バージョンアップがありました。その際に、コンピュータ全部入れ替え、

それに対応するモニタ類も全部入れ替えてました。まだ5年しかたって

いないのに、、、

 

昭和病院なら新品の部類に入る機会が次々と運び出されていく様は

ちょっと衝撃でした。。。

 

ただ、それにしても、ちゃんと税金をしっかり部分だとは思います。

 

 

打ち合わせがどんどん切羽詰まったものになりつつある

最近です。

何より大事なものが、届け出関係。

 

開設届や保険医療機関の届け出、産婦人科なので母体

保護法指定医の届け出、それらに加えて従業員の労働

関係や社会保険の届け出。

 

届け出ばかり山ほどあります。

幸い事務長がかなりやってくれているのですが、代わりに

やってくれる人がいなかったら大変。

 

医療コンサルタントが必要なのも、暴利を上げているのも

うなづけます。これをやるには常勤で勤め続けるのは無理。

その分のロスを考えれば、コンサルタントに莫大なお金を

払うのもしょうがないかも。。。

 

 

 

久しぶりにブログを読んだという外来のミユキさんに、

「トーンがずいぶん暗くなっちゃったね」

と言われてしまいましたが、別に元気です。いたってポジティブです。

 

4月1日に開院が決まりましたが、4月3日に学会のシンポジウムを

開催するという大仕事も待っています。

テーマは

「産婦人科医が元気になるために」

 

このテーマがネガティブなのかな。。。

 

最近よく報道されるように産婦人科医は減っているのです。男性に

限ればその減り方は異常です。20年前は毎年300人くらいの男性

産婦人科医が誕生していましたが、今はおそらく100人を切ってい

ます。

 

人が減ると給料を上げればいいんじゃないか、っていう話があって

都立病院では産婦人科医の給料が3割程度アップしました。

でも人数は増えません。

 

当然、って思います。

 

今の勤務医の給料が適正かどうかはわかりませんが、人が増える

まで給料を上げ続けるのは無理です。

それよりもやりがいを持って働ける職場環境を作れば、人は集まる

はずです。忙しいから人が集まらないならそんな人は医者に向いて

いません。

 

今の医者の勤務の中で問題なのは、評価するシステムがないこと

です。患者さんからの評価、というものはあります。ですが、それは

ごく一部の有名になった医者だけで、それも本当に腕がいいのか、

マスコミへのアピールがうまいだけなのかわかりません。

 

多くの医者はお互いに評価するシステムがないのです。専門医

なんていうのはほぼ形骸化しており誰でも取れます。しかも臨床の

腕とは関係ありません。これは産婦人科に限っての話、ですよ。

 

お互いの評価がないということは、患者さんにとってはテキトーな

医者ができたら困る、ということになるし、医者にとってみれば

自分がどの程度の知識、技能なのかを確認できないので、漠然と

不安でもあり目標設定が難しいのです。評価されることがないから

そういう意味でのやりがいを感じにくい。

誰だって褒められたい、それは医者も同じです。

 

きちんと評価できるシステムができればいいな、と思って、そのため

には何が必要なんだろうかと、開業準備の合間に考える日々です。

 

 

先日、八王子まで行ってきました。

都立八王子小児病院です。あまりにお世話になったので、

お礼がてらどんな所か見てきました。

 

八王子小児病院は赤ちゃんを運ぶ救急車を持っていて、

手が空いていれば状態の悪い赤ちゃんを迎えにきてくれて

そのまま、治療できる病院まで連れて行ってくれるのです。

 

だいたい1年に1回くらいお世話になっているのですが、

いつでも気持ちよく対応してくれるので助かります。

 

そこで、ちょっと行ってみたら遠いのなんの、遠いです。

中央高速で行くと時間的には高井戸から30分くらいなんですが

景色が一変するのですごく遠くにきたみたいな感じです。

 

カーナビに連れられてきたものの、住宅街の中で思わず

存在に気づかず通り過ぎてしまいました。小さくて古いの

ですが、実力とやる気は随一、こんなところでも頑張っている

先生たちがいるんだなぁ、と妙に感動してしまいました。

 

夜、結構遅かったのに新生児科の先生が3人も残っていて

仕事していました。まったく頭が下がります。

 

こういう人たちの働きが、もっと知られるといいのに。。

 

 

初雪、そのあとの冷たい雨、寒かったですね。

 

ちょっとびっくりする話を聞きました。ワタシが知らなかった、

というだけなんですけれども。。

古い薬って薬価がどんどん安くなっちゃって、コストは上がる

から使うと損をする薬があるのです。安くて便利な抗生物質

なんかはそうなんです。

 

ついつい安いので使うのですが、一応、製薬会社には申し訳

ない、と思いながら使っていました。

 

ところが、子宮収縮薬、いわゆる陣痛促進剤もそうなんですって。

いま、点滴で使えるのは2種類しかないのですが、おそらく

両方とも使うほどに製薬会社は損をするような値段になって

いるそうです。

 

陣痛促進剤による分娩事故もありますが、なければもっと

帝王切開が増えたり無理なお産が増えることは間違いなく

とても役に立っている薬なのです。

 

それが、赤字を作り続ける薬とは。。。

それに代わる薬もないので、われわれ産婦人科医はこの

薬を使い続けるしかないのです。

薬価を上げようとすると、薬で金儲けするのか、なんて声が

出るのだそうです。

そんなにがっぽがっぽ儲けなくても、少なくとも赤字はない

んじゃないですかね。。

 

こんなところにも産科医療に国が本腰を入れてない一面を

感じてしまいます。

 

 

いよいよ開業イヤーの幕開けです。

準備ばかりしているので早くクリニックをオープンして仕事をしたい、と

思っています。

 

去年も産婦人科を取り巻く状況はあまり良くならず、むしろたらい回しだ

などと報道され、医師の数が増える見込みはなさそうです。最終的には

産婦人科医師の数が増えないとどうにもならないのですが。

 

今年は昨日から、産科医療補償制度がスタートしました。それによって

お産の給付金が上がって、また10月からも少し上がるなんて話もあって

それがどれほど機能してくれるでしょうか。

 

産婦人科医の当直料がべらぼうに上がって、ちょっとおかしいと思って

いるのですが、お金の使い方が間違っています。これは病院とか開業医

がお金を出すからこういうことになっているんですが、国が主導権をもって

周産期医療の保険診療の点数アップ、集約化をするならその整備、

などにお金を使うべきです。

 

たぶん、多くの医者は時間が欲しいのであってお金が欲しいわけでは

ありません。と言っても、一般的に見れば今でもそれなりにもらっている

のです。

 

ただ、休む時間がないからやめていく。その時間確保のためにお金を

使うべきではないかと思っているのです。それには個々の病院単位で

考えてもだめで、もっと大きな視点で考えないといけないでしょう。

 

医療は純粋な市場原理にはなじまないわけで、なじませようと思ったら

お金を持っている人は医療を受けられて、そうでない人は受けられない、

という事態が起こります。

アメリカでそういうことが起こっているのに、そしてそれはよくないと

誰もが思っているのに、医療費抑制の名の下、そこに向かっている

のです。

 

こういう議論が活発になって、少しでも動いていけばいずれいいものが

出来上がるのではないか、とも思います。

産科医療補償制度がそのスタートになりうるかどうか、動き始めたこと

はともかくもよいことかもしれません。

 

大きなことを言っても、私はまずクリニックを軌道に乗せること、そこから

頑張っていかねば。

今年も、いや今年こそ、よろしくお願いいたします。

 

カテゴリ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.1

このアーカイブについて

このページには、2009年1月以降に書かれたブログ記事のうち医療カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは医療: 2008年12月です。

次のアーカイブは医療: 2009年2月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。