医療: 2008年7月アーカイブ

CAD

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今日はちょっとした勉強会に行ってきました。

話題のひとつに、CADがありました。

CAD、シーエーディー、キャド、とも読むそうです。

正式名称はComputer Aided Diagnosis

 

コンピュータによる診断支援、ということですが、

実はもう商用化されているんだそうです。

心電図の自動解析はもうどこでもやっていますが、

それみたいなもので、画像を自動解析してしまおう

というものです。

 

アメリカでは乳がん診断のマンモグラフィで最初に

商用化され、日本では脳のMRIとか乳房は超音波

画像を自動解析する機械を作っています。

 

類似の装置としてはデジカメの人認証とか笑顔認証

なんかの技術がそれなんだそうで、なるほどと思い

ました。

 

まだあくまでAidedっていうことで、補助段階ですが、

いずれ人間の目でも見つけられないようなものでも

機械が見つけちゃうんじゃないか、なんて想像して

しまいました。

 

もうひとつ驚いたのはそれを日本で先頭に立って

推進している人が岐阜大学の先生、ということ。

日本各地で先端技術の開発がされているんですね。

 

ブルーの発光ダイオードは四国でしたし、日本は東京

一極集中とかいってもどこも元気だなあと頼もしく思い

ました。

 

News ZERO

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News ZEROで「産科崩壊」、と題して特集をやっています。

いままでは患者側の目線で、医療の怠慢を斬る、みたいな

スタンスの報道が多かったですが、こういう医療側の目線を

取り入れた番組が出てくるのは公平になってきたな、と

思っています。

 

それだけ、産科医療が崩壊しつつある、ということもあるで

しょうし、医師患者関係が対等になりつつある、ということも

理由のひとつかもしれません。

 

世田谷ですら、産みたいと思う場所で産めないのです。

選択の余地があるからまだいいのでしょうが、医師人口の

多い23区ないですらそういう状況です。

 

現在勤務中の病院も、とっとと分娩を再開してほしいの

ですが、助産師が集まらないとかいってなかなかはじめようと

しません。ま、それはいいとして。。。

 

医療側の意識と患者さん側の意識の違い、これはなかなか

埋まらないのでしょうけど、産科が一番顕著だからまず産科

から崩壊してきているんでしょうね。いずれ全科に波及して

いく方向なんでしょう。

 

昔はもっと事故が多かったはずなのに、こんなに騒がれて

いなかった。患者さんが泣き寝入りしていただけ、なんでしょう

けど、きちんと説明する時間をとったりするには圧倒的に

マンパワーが足りない。そこのシステムの整備も進んで

いません。

 

 

最前線の医師は、とにかく一生懸命診療して、きちんと説明して

ってことをやるしかありません。少なくとも私は産婦人科医療に

夢も希望も持っていますから、そういうものも伝えられるといいなと

思っています。

 

 

今日は日本産婦人科学会の企画委員会がありました。

卒業後10年以内の若手医師を中心に今後の産婦人科

のあり方について、学会で企画を催すための委員会です。

 

産婦人科医は、減少の一途をたどっておりその歯止めと

なるべくいろんな企画が催されています。

 

現在は、医師数が減って、現役医師の負担が増え、

それに耐えかねてまたやめる、という悪循環に陥って

います。それに加え学生が新しく産婦人科を専攻しない

のです。

 

少子化が進む中、産婦人科に明るい未来がないと

感じるのか、産婦人科医の中で議論していても答えは

でません。なぜなら、産婦人科医は少なくとも魅力を

感じて産婦人科を専攻したのだから、魅力を感じない

のはなぜ?と言われても答えられません。

 

でもこのまま放置すると、必ず患者さんの不利益に

つながってしまいます。すでに首都圏以外では、

産婦人科診療を受けるために1時間も2時間もかけて

病院に通院している人がたくさんいます。

 

なんとかいい知恵を出したいと思っています。

このブログも、もし医学生が目を通して、少しでも

産婦人科医療っておもしろい、と思ってもらえれば

という気持ちも込めて書いています。

 

少しでも伝わって!!

 

サイダツ 2

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(ふぉぉぉーーーっ!)

ワタシ 「っっっっっっっ」

助産師さん 「ひぇっっ」

 

全身からアドレナリン噴出、汗も噴出、尿道はなんとか閉め、

ワタシ 「吸引っ!」

すぐに吸引分娩用のカップを出してもらい、臍帯を押しやって

赤ちゃんの頭に装着、そこはさすがに経産婦さん、吸引分娩で

あっという間に生まれました。その間30秒、しかし、心音が

低下し始めた時から数えると約7分、臍帯が圧迫されていたの

かもしれません。

 

すぐに、ややぐったりした赤ちゃんを蘇生です。胎便という

赤ちゃんの便を吸っていたのですぐに吸引し、酸素をバッグで

送り込みます。すると30秒ほどで元気な泣き声をあげ、

白かった赤ちゃんも本来の赤みを取り戻してきました。

 

念のため赤ちゃんを保育器に入れ、モニタリング。少し酸素を

加えると落ち着いていました。

 

子宮の中はブラックボックス、とはよく言ったもので、何が

起こるかわかりません。何が起こってもよいように、準備が

大事だとあらためて思いました。物品の準備はもちろん、

心の準備も必要です。

 

産婦さんにはその場でゆっくりと説明できないときもありますが

あとからちゃんと説明しています。そういう緊急事態もお産には

つきものである、と少し心構えをしてもらえるよう、母親学級など

で伝えていければいいなと思っています。

 

サイダツ 1

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梅雨の中休み、やはり今年も暑い夏になるそうです。

熊谷では昨年40度越えの反省を生かし、50度までの

温度計を作ったそうです。。。

 

ところで、表題のサイダツ、SAIDATSU、臍脱、、臍帯脱出

の略です。赤ちゃんが生まれる時、体が全部出る前に

へその緒が出てくることのことです。へその緒が先に出て

しまうと赤ちゃんの体や頭と産道の間で圧迫されて、赤ちゃん

に血液が届かなくなりとても危険な状態です。骨盤位、

つまり逆子の時に起こりやすく、逆子が帝王切開になる

理由の一つになっています。

 

 

先日、あるお産のとき、子宮口が5cmくらい開いたところから、

ときどき赤ちゃんの心音が低下していました。ただ、すぐに

回復するし、回復したときはとても元気そうなモニター状況で、

かつ経産婦さん、陣痛もよく来ていたので様子を見ていました。

 

その後、心音はときどき低下するものの、臍帯がらみのものでは

ないか、というパターンで臍帯が首に巻きついているのだろうと

思っていました。診察すると、胎胞といって赤ちゃんを包んでいる

膜がパンパンに張っていて頭さえ触れず、どんどん進みそうな

感じです。

 

30分後、

助産師さん 「心音が落ちてまーす、分娩室でーす!」

ワタシ 「はいはーい」

それまでは陣痛室という準備室にいたので、分娩室ということは

お産になる直前です。やや安心しながら分娩室に駆け込むと、

心音が確かに下がって3分くらい戻っていません。診察すると

もう胎胞が膣からはみ出すほどに進んでいたので、

(もうお産だな)

ワタシ 「では破膜しまーす」

赤ちゃんを包んでいる膜を破ってお産にしようと思いました。

 

えいっと膜を破って、また内診。

(んん??んんん???)

なんだか赤ちゃんの頭の前にコリコリしたものが触れます。

(便秘かな?)

ときどき膣越しに便をコリコリ触れることがあるのでそうも

思いましたが、そのコリコリがつかめるのです。

ちょいと引っ張ってみると膣の中から出てきたものは

SAITAI、さいたい、臍帯!!!

 

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