医療: 2008年5月アーカイブ

 

最近は電子カルテの導入で、医師がパソコン画面ばっかり

見ながら診察をし、患者さんの顔を見ない、なんていう話も

あります。

 

パソコンに慣れた30代以下の以下の医師に、そんな人は

いませんが、やはり50代、60代では苦労が多いようです。

 

顔を見ないといえば、医師同士も病院が違うと名前だけは

知っているけども。。。ということがほとんどです。近くの病院に

いても書類上の付き合いばかり。

 

ということで、昨日は世田谷・目黒の産婦人科医師の集まりに

行ってきました。病院、開業医を問わず20人くらい集まって

結局日ごろのグチを言い合うみたいな感じになってしまいましたが、

皆さんの顔が見えて安心、かつ心強く感じました。

 

おじいちゃんクラスの先生から研修医の先生まで来て、でも

産婦人科を盛り上げよう、という気持ちはみんな共通していて

いい気分で酔っ払いました。

 

調布でも早く仲間にとけこんでいきたいな、と思っています。

 

 

おかげで今日は声が出ない。。。

外来が心配。。。

百日咳

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今朝の雨はすごかったですね。この時期に台風とはびっくりです。

タクシーを使ったのに待っている間だけで、ビニール傘は破壊され

足元はぐっしょり。。。

 

ところで、最近、大人の百日咳が増えているようです。

知人の同僚が百日咳になったと聞いて、そんなの大人がかかるんだ

と驚きましたが、今日、妊婦さんの百日咳疑いの患者さんがいました。

 

ふつうは大人は抵抗力が強いので重症になることはないのですが、

最近の菌は強いんでしょうか。ちなみに予防接種は10年もすると

効果はなくなるんだそうです。

 

妊娠中にかかってもどうということはありませんが、咳が続いて

低酸素の状態が長く続くと問題でしょうから、早めに治療するのが

いいです。

 

去年ははしかでしたし、なんだかおかしいですね。

 

今日の走行距離 0km  5月 計27km

結審

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福島県大野病院の裁判が結審しました。

亡くなられた患者さんのご冥福をお祈りいたします。

 

事件については、詳細はいろんなところに書いてあり

かつ私も特別な情報は知らないので、ちょっと省略。

 

簡単には、癒着胎盤 → 帝王切開 → 胎盤剥離

→ 出血多量 → 母体死亡

ということだと理解しています。

検察の求刑は、禁固1年!

やはり厳しい...

逮捕したからにはこれくらいしないと検察のメンツも

たたないのでしょうか。

 

医療側は学会をあげて猛反発しています。こういう

医療事故、事件が起きた時、

「この医療・医者はひどい」、と思うときと

「これ、自分でも危ないな」、と思うときがあります。

この事件は完全に後者で、だからこそ学会も猛反発

しています。

 

同じ経験はもちろんありませんが、似たようなことは

あって、間一髪、ラッキーだった、ということで切り抜けて

きています。これは産科医療に携わる人ならみんな

そうで、「一歩間違えば...」、というのが今回の事件

だったように思います。

 

一歩も間違えてはいけないんですが、それが人為的な

ものとどうにも防げないものがあります。

妊娠子宮からの出血は、恐ろしいくらいに出ますし、

止まりません。だから出る前に何とかしないと、という

論理なんですが、それができれば苦労しませんし...

 

亡くなられた方、ご家族の悲しみはどうにも癒されません。

ただ、真相を知るには裁判に出るしかなかった、ということが

悲しいですし、もっと話し合う余地はなかったんでしょうか。

もっとも、これは刑事裁判なので、検察には医療の専門家

はいないのか、あるいは、外に出ていない重要な情報が

あるのか、よくわかりません。

 

なんかだらだらとキリがなくなってきました...

 

判決は8月20日。今後の産科医療のあり方にも影響する

判決になります。

ある当直にて

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以前の勤務先、小平市の病院で当直です。

分娩から遠ざからないように、当直勤務で補っています。

 

救急隊から連絡が入りました。妊娠8ヶ月、おなかが痛い

とのことです。かかりつけがあったにもかかわらず、満床

である(?)と断られ、どこも引き受けてがなく、立川から

やってきました。妊娠8ヶ月、腹痛という情報しかなく、

しかも当病院も満杯でしたが、最後の砦ということもあり、

無理やり引き受けました。

 

到着してみると妊娠32週、陣痛開始、骨盤位、前回帝王切開

という超ハイリスク!

なんとなくヤバい感じはあったんですが...

 

本来なら帝王切開をすべきところ。けれども子宮口は全開大、

赤ちゃんのお尻はすぐそこに。迷わず自然分娩でいくことに

しました。アドレナリン全開!、でも冷静に、冷静に...

 

全開帝王切開の自然分娩、骨盤位の自然分娩を教えてくれた

私の師匠の教えを頭の中で何度も繰り返していました。

 

緊急手術の段取りも頭に入れつつ、骨盤位牽出術を頭の中で

繰り返しシュミレーション。看護スタッフは突然の展開にとまどう

産婦さんをケアしつつ、必要物品を次々と揃えてくれる、本当に

優秀です。

 

小児科の先生もスタンバイ、幸い赤ちゃんの心音も良好、

いよいよ分娩です。


今日、カンブリア宮殿で、聖隷浜松病院の院長先生が

出演していました。

 

名前だけしか知りませんでしたが、とても評判のいい病院だそうです。

テレビなので、本当のところはよくわかりませんが、忙しくてもみな

喜んで働いている、ということなので、いい病院なんでしょう。

 

どういう病院がいい病院なのか、患者さんから見る場合と医療者側から

見る場合と違っていることも多いと思います。でも、気分よく働いている

人が多ければ、患者さんにも優しくなるし結果的には患者さんにも

いい病院になると思っています。

 

医者にとっていい病院とは、給料とか勤務時間ではないんです。

ちょっと青臭いですが、医者にとって医療は自己実現ですから、

やりたい医療ができる、ということが重要です。

 

これは自分のやりたいことを患者さんに押し付けることでは

ありません。患者さんが中心です。その患者さんに必要と思われ、

かつ自分にできる技術はあるのに、病院の規模や設備の

問題でできないこと、これが辛いんです。

だから、それができないとなると、働いていてもむなしい、とか

せめて給料だけでも高く、なんて思ってしまうんではないでしょうか。

 

わがクリニックでも、当然病院でできたことができなくなります。

が、病院でできなかったことができるようになるメリットもたくさん

あります。

 

また、一緒に働いてくれるスタッフの方たちにはできるだけ制限を

しないで、 やりたいことが自由にできるような雰囲気を作っていきたいと

思っています。

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