医療: 2010年12月アーカイブ

 

昨日、毎月恒例の同窓会がありました。

24人のお母さんが参加してくださって、元気な笑顔と元気な

赤ちゃんを見せてくれました。元気をくれて本当にありがとう

ございます。

 

私が、この仕事をやっていてよかったと感じられる瞬間のひとつ

です。

 

その中で、お母さんの興味深いお話。

「入院中は母乳が出なくて本当につらかった。この病院を選んで

後悔もした。でもそのあとがんばって今は完全母乳でがんばって

いる、3人目にしてはじめてだった。」

 

と涙ながらに話してくれました。

 

聞きながら私も感情が高ぶりました。。

この問題はいつも気にしていることなんです。

今回は勇気を持って言ってくれましたが、きっとそう思っている

お母さんたちは結構多いはず。

 

母乳が赤ちゃんにいいのはわかっています。これはわかりすぎる

ほどにわかっています。

でも、母乳だけにこだわりすぎるとそれがつらいと感じるお母さんが

いて、お母さんがハッピーでなくなってしまう。

 

「完全母乳である必要はありません、赤ちゃんの健康のために少しでも

いいから母乳をあげてください、そのためにちょっと努力してください、

頑張ったということが赤ちゃんに伝わりますから」

 

そんなスタンスで取り組んでいるつもりです。

それでもお母さんたちには、完全母乳で頑張らなきゃ、っていう

プレッシャーを与えてしまっています。

 

だからといって、お母さんの快適さを優先しすぎると、出るはずの

母乳も出なくなってしまいます。それでは赤ちゃんがかわいそう。

 

お母さんのつらい様子を見ながら、まだ頑張りましょう、と言う

スタッフも、ミルクを足してあげたいな、なんて思いながら心を

鬼にして励ましています。

 

赤ちゃんの健康を大事にしつつ、お母さんがハッピーでいられるように、

まだまだ私どものゴールは遠いです。。

 

 

昨日のクローズアップ現代で、妊娠中のエコーによる

診断の話題が出ていました。

 

突然赤ちゃんに異常があると言われたお母さんは、びっくりして

パニックに陥ります。そのケアが十分にできていないのでは

ないか、というお話。

 

解説をしていた先生の話では、エコー技術が格段に進歩して

いままではわからないでいたものがわかってしまうようになって、

そのときの対応にまだ全体でコンセンサスがないのが問題だ

とのことでした。

 

一部病院では、エコー検査をやるにあたって、異常がわかった

場合、知らせてほしいか知らせてほしくないかをあらかじめ

書面で聞いておくところもあるようです。

 

でも、うちのようなクリニックの場合、異常がわかって知らせない、

なんていうことはありえません。

だって、異常があるとわかっていて、小児科の医師などが万全の

体制で準備していたら助かるかもしれないものが、うちで産んだら

助からない、なんてことがあるわけです。

 

また、助からない異常が見つかった場合、中絶するかしないか

家族の判断に任せる、というのがいまの主流ですが、それが

「丸投げされた」

と言われていました。

 

コミュニケーションの問題だとは思いますが、異常がわかってから

中絶をするしないの判断をするまでの時間が圧倒的に足りない

わけです。

それにこういう問題は個人個人の価値観の問題なので、医療者側

から中絶すべきとかすべきでないとは言えないです。

 

患者側に情報が足りない、と言っていましたが医療者側にも情報は

ないのが現状です。エコーで診ただけでは、その子がどれくらい

生きられるのかなんてわかりません。

なので、最悪のケース、最良のケースを話してその間です、ということ

しかできないのです。

 

今、中絶が許される週数は21週6日まで。

これを延長するしかないんじゃないかと思いました。

それに、今は赤ちゃんの異常では中絶できないことになっています。

これも変えたほうがよいですよね、現状とあっていないんだから。

 

私なんかでも、もし自分のこどもに異常があったらどうするか、なんて

今の時点ではまったくわかりませんし、その時になったらきっと

パニックになるだろうな、と思います。

 

とーっても難しい問題だから取り上げたんでしょうけど、医療者側の

努力が足りないんじゃないか、という論調にはちょっと疑問でした。。

 

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