医療: 2008年10月アーカイブ

 

掲示板を始めました。

なんかちょっと古い手法ですけど、質問を受けるには

一番都合がいいかな、と思いまして、とりあえずやって

みます。

 

よくある質問FAQ、なんていって作る手もありますけど

開院後もコミュニケーションの一つとして続けていきたい

という思いを込めて作りました。

 

 

昨日の続きですが、東京で妊婦さんが脳内出血で出産後

亡くなりました。昨日から今日にかけていろんなことを言って

いる人がいました。

ワタシもそのひとりですけど。。。

 

医療関係者でない人は、「満床」で受け入れ拒否とは

納得がいかないと思います。満床っていっても、診察室とか

どこかに寝かせればいいじゃないか、なんて言いますけど、

そういう意味ではないんです。

 

それ以上患者さんを引き受けても、絶対に事故が起きる、

というキャパを超えたものを満床、と呼んでいるのであって、

実際にベッドが空いているかどうかは問題ではありません。

 

きっと無理やり引き受けて、観察がおろそかになって事故が

起きたらそれはもっと非難されるはず。

 

「とくダネ」のコメンテーターが言っていましたが、周産期

センターを名乗る病院に研修医が一人で当直する、って

こと自体が問題です。それだけ人が足りません。

 

また、20年前ならきっとしょうがない、ってことで済まされて

いた問題だろうと思います。それがいいことではありません

けど、実際分娩にかかわるお母さんの死亡率や赤ちゃんの

死亡率はぐっと改善しているのに、あたかも問題が増えて

いるかのような報道です。

 

医療の進歩によって救える命が多くなったことが、逆に

救えない命にスポットが当たりやすくなって、医療者の首を

絞めているように感じられます。

 

こういう、医療者とそうでない人の意識、感覚のずれを少し

でもなくしていければ、と思います。それには日々のコミュニ

ケーションしかないんですが、混み合う外来ではそれもなか

なか。。。

 

 

毎日毎日打ち合わせ。少しずつ内容が固まっていくと

気分がいいものです。

 

ところで近頃病院の歓送迎会などの行事に子連れで

参加しています。。。

ほんの3年前くらいまでは考えられないことでした。

 

よく病院の飲み会に子連れで参加しているのは大体

婦長さんとか主任さんとかベテランの看護師さん。

そんなのを見ながら、遊びの場でも子供の面倒を見て

大変だなぁ、なんて思っていました。

 

そんな自分が子連れで参加です。

コップを壊さないかとか、服をびちゃびちゃにしないか

とか、飲み会どころではありません。子供好きの看護師

さんが少し面倒を見てくれたりしますが。。。

 

早く成長してくれー。

 

普段は面倒を見てくれている妻とか自分の面倒を見て

くれた両親も大変だっただろうなぁ、なんて、今さらです。

 

 

読売新聞に医療改革の提言が出ていました。

 

安心医療にカネを惜しむな、とか、当たり前なんですが、

財源はきっと増税なんでしょうけど、増税するって話に

なると話がこじれて進まないんですよね。

 

でも、すぐにできそうなのは"若手医師の計画配置"。

日本では自分でなりたい科を選択できて、人並みに

我慢できれば専門医くらいには誰でもなれちゃいます。

 

それで診療科によって人的な余裕があまりに違って

きてしまっているから、診療科によって人数制限しよう

っていう話です。

 

そうすれば今人気のない、産婦人科医や小児科医の

確保につながるってわけだそうです。

人気のあるのは精神科とか眼科とか皮膚科。そういう

ところに応募してなれなかった人たちが産婦人科医に

なるってことです。

うーーーん、ということは、産婦人科医は落ちこぼれの

集団になるってことでしょうか。

 

なんかキビシイですけど、しょうがないですかね。

 

アメリカは、ってなんでもアメリカがいいみたいに言う

みたいで嫌ですけど、1年目からどんどん競争があって

優秀でないと他の診療科への転向を迫られるわけです。

"グレイズアナトミー"とか"ER"とかみたいなのは日常的。

 

日本ではそういうことがないだけに、勤務医はみんな

給料も横並び。いくら働いたって待遇はたいしてかわらない。

だから勤務医を辞めていく人が増えている。待遇が悪い

からじゃなくて、きちんとした評価システムがないからだと

思うんです。

 

そういう意味では競争社会にして活性化するのはいいこと

なんですけどね。

厚労省とか舛添さんなんか頑張ってくれないかなぁ、、、

 

 

ピンクリボンといえば、リボン運動の中でもいちばん

有名になったかもしれません。乳がん予防、治療の

運動です。

 

女性の診療科としては乳がんも守備範囲です。

ですが、大きな病院にいると、乳がんは外科の先生が

診断、治療をするので、婦人科としてはかかわることは

ほとんどありません。

 

しかし、クリニックでは子宮、卵巣、ついでに乳がん検診

までやっているところが多く、わがクリニックでも超音波

検査を主体にやっていく予定です。

 

というわけで、いまの病院では外科のタッチー先生と

一緒に半ば教わりながら診療に携わっております。

 

タッチー先生も乳腺を専門分野として普段から女性を

相手にしているせいか、物腰が柔らかくとても心地の

いい先生です。産婦人科医もだいたいそういう人種が

多く、普段女性と接しているとだんだん中性化されて

くるようです。

 

たまに怒鳴り散らす先生もいますけど、だいたいトラブル

が多いので淘汰されていくんでしょうね。

そうならないよう、いつも患者さん目線で、ですね。

 

 

ジャイアンツが勝ってマジック2。気分が高ぶります。

 

それはそうと、クリニックはあくまで医療機関ですから

安全な医療、お産、手術を展開していくのは前提です。

でも、それだけではつまらない、というか地域に根差す

クリニックとしての役割は不十分だと考えています。

 

女性が自分の体をよく理解して、そのお手入れをして、

そして社会で活躍する、そのためのクリニックでありたい

と思っています。

 

そこで、一つの柱になるのは出産後の女性への支援

です。育児の不安に加え、自分の体調も心配になります。

劇的に体の状態が変わるわけですから、精神的にも

不安定になることも多いのです。

 

そこをサポートするわけですが、悩みはそれぞれですし、

解決策も個々人で違いますから、自分で解決する、

それをコンセプトにしています。そのための手がかりを

見つけてくれれば、と思っています。

 

まだまだ確立された分野ではありませんし、絶対的な

解答もないのでしょうけれど、一緒に考えている人が

いるということ、一人で悩む必要はない、ということを

伝えていけるといいですね。

 

エクササイズ、カウンセリング、あるいは遊びながら、、、

どんな形で実現できるか、じっくり検討中です。

 

 

日本では世界の先進国と比べると検診の受診率が低いことが

知られています。

先日の新聞には"子宮頚がん"という言葉を知っているかどうか

という日本とアメリカとオーストラリアの比較が載っていました。

 

子宮がんといっても、子宮頚がんと子宮体がんがあって、とくに

子宮頚がんは検診も正確で簡単、早期に見つかることも多く

治る病気です。

 

アメリカとオーストラリアではほとんど全員がこれを理解し、検診の

受診率は60%程度。日本では60%くらいの人が理解をし、検診の

受診率は10%未満。

 

日本が圧倒的に低いのですが、アメリカやオーストラリアだって

理解しているっていっても検診に行くのは半分強なわけです。

やはり婦人科は受診しづらいというのは世界共通。

 

なかなか、行きづらいですよね。。。

 

乳がんなんかは、かかる人が多いせいもあって結構検診を受ける

ことがポピュラーになってきています。ピンクリボンとかいってちょっと

おしゃれな感じも出しつつ上手にキャンペーンをしています。

 

子宮、卵巣もがんばれ。

 

ところで、よく検診に来てくれる人からの一番困る質問。

「検診って、いつまで来たらいいんですか?

 もうだいぶ通ってますけど、いつも平気なんですが」

健康な人にするのが検診なんです。病院に来るのが面倒なのは

わかりますけど、検診とはそういうもので。。

いつまでも検診を受けてください。

 

といいつつ私は定期健康診断さえさぼろうと予定を入れたりして。

 

がん検診に限らず地域への医療に関する啓蒙活動は、私の目標の

ひとつで、みんなが自分の体の手入れができるようにいろんな情報を

伝えていければいいなと思っています。

 

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